今日から大相撲春場所が始まった。ご存じのように大相撲には番付という序列があり、その最高峰が横綱である。しかし、この横綱という位置は一度登り詰めてしまうと陥落することができない。小結や大関は番付を落とすことはできるが、横綱は常に白星を求められ、成績が悪くなれば引退するしかないのだ。ロックバンドには番付こそないが、良質のアルバムを作り、セールスに結びつくことで格が上がっていく。今日紹介するバンドは70年代の中期には“小結”くらいの位置にいたのではないだろうか。
今日のアルバムはナザレスが1975年にリリースしたベスト盤「ラヴ・ハーツ/ナザレスの逆襲」に3曲を追加収録したもの。最近になって何故か紙ジャケで再発された「ラザマナス」「威光そして栄誉」「人食い犬」時代の曲がほとんどである。私がナザレスを知ったのは90年代前半、ガンズ&ローゼズのアクセル・ローズがナザレスのことを“フェイバリットなバンド”発言した記事を読んでからだ。事実、このCDの帯コピーにも「アクセル・ローズが愛聴したスーパー・グループ」という文句が並んでいる。最初に買ったのがこの作品だったが、ベスト盤ということもあり、良い曲ばかりである。ナザレスがオリジナルと誤解されるくらいヒットしたM3「Love Hurts」はもちろん、のちにガンズ&ローゼズもカヴァーしたM9「Hair Of The Dog」。ジョニ・ミッチェルのM7「This Flight Tonight」。アダルティになった80年代の曲も追加されている。スコットランド出身でありながら、アメリカン・マーケットを意識した曲が多いため、ブリッティッシュ・ロックという言葉で括るのは難しいナザレス。「ヘヴィメタルの元祖」という例えもあるほどだ。 横綱に登り詰めたガンズ&ローゼズが14年間も“休場”している中、ナザレスは現在も活動している。バンドに残っているのは、ダン・マッカファティー(vo)とピート・アグニュー(b)の二人。それに親子ほど年の離れたギターとドラムの4人編成で、主にツアー活動を行なっているようだ。ベスト盤やライヴ盤のレコードはたまにリリースしているようだが、日本では国内盤化さえしてもらえない。もう“序の口”扱いなのだろうか。
by velvet_iris
| 2005-03-13 22:02
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