カテゴリ:P/Q/R/S( 29 )
Pete Townshend / Empty Glass(1980)
a0026447_226062.jpg 私がロックの洗礼を受けた頃、聴いていたのは5歳年上の兄からの“おさがり”ばかりでした。キッスやストーンズ、ツェッペリンにディープ・パープル。そしてビートルズ。すなわち私が聴くものは兄の好みによって形成されていたわけですが、なぜか兄のレコードコレクションにはフーのレコードが一枚もありませんでした。しかしその後、自分好みの“リアルタイムのロック”と並行して“昔のロック”も振り返るようになり、そしていつのまにかフーも大好きなバンドのひとつになりました。

 フーが演奏するロックはとてもゴキゲンなのですが、パーソナリティーを語るとき「不幸」とか「悲劇」というキーワードを連想してしまいます。まず、最大の不幸はメンバー二人がすでに他界していること。そして日本での過小評価。そして忘れちゃいけないのが、2003年の「ピート逮捕」です(笑)。ニュースで聞いたときにはそれはビックリしました。ピートといえば“ロック界の良心”と言われるほど真面目で人柄が良いそうで、それは顔に表れていると私も思うくらい。しかし“児童ポルノ所持”、“性犯罪者リストに掲載”とくれば、「真面目な人ほどそういうことに…」と考えてしまった人も多いんじゃないでしょうか。じつは私も一瞬そう考えてしまいました。ごめんなさい(笑)。実際は児童虐待に反対するキャンペーンの調査のため、児童ポルノを掲載するサイトにアクセスしただけで、“所持”はガセだったらしいのですが、性犯罪者リストには2008年まで掲載されているそうです。ね、悲劇でしょ。

 本作は1980年に発表したピートの3rdソロ作品ですが、1978年にドラマーのキース・ムーンが他界し、翌1979年のコンサートでファンが将棋倒しになり11名が死亡するという「悲劇の連続」を全く感じさせないポップな作品です。当時シングルヒットし、ピートのベスト盤にも常連のM1「Rough Boys」。面白い歌詞とファルセットのヴォーカルが妙にマッチするM2「I Am An Animal」。M3「And I Moved」や「ハートの扉」という邦題もある代表曲M4「Let My Love Open The Door」など、シンセサイザーが多用されているのは時代なんでしょうが、とても心地いいのでニューウェイヴが苦手だった私も全然平気です。国内盤は廃盤ですが、昨年の「廃盤CD大ディスカウントフェア」で手に入れました。輸入盤なら普通に売っていますので是非。


■ 今年の「廃盤CD大ディスカウントフェア」詳細はコチラ
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by velvet_iris | 2005-10-04 22:14 | P/Q/R/S
Sheryl Crow / Wildflower(2005)
a0026447_0253364.jpg 気がつけば9月も終わり。今年も残すところ3カ月になってしまった。2005年を振り返るにはまだ早いが、軽く振りかえってみても今年は目当てのアーティストによるアルバムリリースが例年よりも多かった。特に6月くらいからは私にとっての要注意アーティストのアルバムリリースが目白押しで、毎週のようにCDショップに足を運んでいたような気がする。しかし、それも8月31日をもって一息付いたとばかり思っていたが、もう一人私にとっての“要注意”が残っていた。シェリル・クロウである。

 シェリルの新作に対して全く心の準備はなかったが、それだけに先週(発売日の前日夕方)、店頭の目を引く場所にディスプレイされている新作のジャケットを見たときは嬉しかった。まずジャケットがいい!まるでビアズリーのようなタッチの絵にあぐらをかいているシェリル。インナーの写真も良い表情だ。シェリルがつい最近婚約したのは知っていた。お相手は2年前から交際していたランス・アームストロング。きっと幸せいっぱいの中、このアルバムは制作されたのだろう。インナーには「To Lance With Deep Love And Appreciation. This Record Is For You.」という彼女のメッセージがあるくらいだ。ミュージシャンの私生活が作品に反映されることは多い。クラプトンの新作「Back Home」が「Layla」や「Tears Of Heaven」とは違う色ばかりのアルバムになっているように、本作にも「Soak Up The Sun」のような色は微塵もない。彼女の過去の代表曲に例えれば「Home」のようなパーソナルな世界が展開されるアルバムで、アルバム全体にアコースティックギターの音色が響き、実に落ち着いた感じがする。それでもリード・トラックのM3「Good Is Good」はこれまでのファンならば両手を挙げて歓迎できるような曲で、きっと彼女の代表曲の一つになるだろうなと思う。解説によれば、本作のレコーディングと同時にもう一枚ポップ・ソングを集めたアルバム用にレコーディングを済ませているらしい。戦略的な都合でリリースは来年に先送りするらしいのだが、「Soak Up The Sun」のような色を好むファンはそちらを楽しみにするといいかも。

 ところで最近、私のリリース情報仕入れ元といえば「rockin'on」と「BURRN!」、CDショップのフリーペーパー、レーベルからのメルマガ。あとは“虫の知らせ”でアマゾン検索をする程度だが、シェリル・クロウの新作については全く寝耳に水だった。私は雑誌の隅々まで読むほうではないが、それでもシェリルの新作についての記事は目にしなかったのは何故だろう。「BURRN!」に掲載されないのは当たり前だが(笑)。
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by velvet_iris | 2005-10-01 00:27 | P/Q/R/S
Ultimate Survivor / Survivor(2004)
a0026447_23323556.jpg 今日アップルは新しいiPodシリーズ「iPod nano」を発表した。高さ9センチ、厚みはわずか6.9ミリというコンパクトサイズだそうだ。容量は2GBと4GBで、現在の最高峰モデルである60GBには遠く及ばないものの、2001年の初代iPodが5GBであのサイズだったことを考えると、サイズのミニチュア化や低価格化のスピードには感慨深いものがある。ところでアップルといえばマッキントッシュ。マックといえばOS Xタイガー。タイガーといえば「Eye Of The Tiger」、サバイバーである(ちと強引か)。

 本作は昨年発売されたサバイバーのベスト盤。サバイバーを表現するとき「80年代アメリカを代表するバンド」というコピーが付く事が多い。たしかに私も「サバイバー=80年代」というイメージはあるが「アメリカ代表=サバイバー」というイメージは薄い。サッカー日本代表に例えるなら、「中田=ジャーニー、俊輔=フォリナー」と有名どころが真っ先に浮かび、しばらく考えたあと「サバイバー=加地」みたいな感じだろうか。とにかく地味でヒットも少ないが、アルバムには結構良い曲もあった、みたいな(笑)。本作に収録されているのは1979年から1988年までの7枚のオリジナルアルバムからと、ロッキー4のサウンドトラック、未発表曲の合計18曲。もちろん、M1「Eye Of The Tiger」は本作でもオープナーとして収録されているし、オリジナルアルバムに収録されることのなかったロッキー4のテーマ曲M6「Burning Heart」も含まれている。若いファンはロッキーのテーマと言われてもピンとこないかもしれないが、聴けば必ず分かると思う。スポーツや格闘技番組でBGMとして使用される事も多いこの曲は筋トレにピッタリだ。私も中学から高校と極真カラテをやっていたが、トレーニング中にこの2曲は欠かせなかったし、試合の直前にはウォークマンで聴いてテンションを上げていた。この2曲以外にもハードな曲、AORっぽい美しい曲など80年代アメリカンロックが満載なので、ハートやTOTOが好きなのにこれまでサバイバーを聴かなかった人や、筋トレマニアに是非お薦めしたい。

 当時、私や周囲の友人もジャーニーを聴いていたが、ひとりだけサバイバーのアルバムを持っている子がいた。誰かが持っていればみんなで廻しあってテープにダビングするのが仲間。当然のように貸し借りをしたのだが、一番人気はやはり1982年リリースの「Eye Of The Tiger」だった。私も数枚ダビングさせてもらったが、ヴォーカルが交代した1984年の「Vital Signs」の充実ぶりはまさに加地っぽい「いい働き」をしていたと思う。今度は自分で買ってみたいが、国内盤はほとんど廃盤になっている。私が購入した本作は輸入盤だが、今年になって国内盤もリリースされたようだ。収録曲数は変わらないようなのでお好みでどうぞ。

 ■ iPod nanoの詳細はコチラ
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by velvet_iris | 2005-09-08 23:34 | P/Q/R/S
Stereophonics / Language. Sex. Violence. Other?(2005)
a0026447_23385643.jpg 私はNHKが好きだ。まず信頼できそうな気がするし、そこそこ面白い気がするし、なんといっても勉強になるので賢くなったような気にさせてくれるではないか。中でも好きなのが「英語でしゃべらナイト」。海外の著名人がゲストで出演するのも見どころだが、パックンのマメ知識がためになる。例えば「ゲイは“th”のイントネーションが独特」だということ。私のようにあまり英語が得意でない者は聞き流してしまうが、ネイティヴは“th”のイントネーションだけでゲイを嗅ぎ分けるらしい。

 今日紹介するのはステレオフォニックスの通算5作目となる最新作だ。国内盤の帯には「5作目にしてすべてがフレッシュに。一大ターニングポイントにして大傑作アルバム誕生!」とある。本当だろうか。検証してみよう。

 まず「本当にフレッシュか」。これは一目瞭然だ。ケリーは2003年に12歳のころから一緒にバンドをやってきたドラムのスチュアート・ケーブルを解雇した。代わりに加入したのがアルゼンチン人のハヴィエ・ウェイラー。とてもフレッシュなルックスだ。彼の加入により、バンドのルックス平均は確実にアップしている。

 次に「本当にターニングポイントとなるのか」。私が思うにステレオフォニックスはこれまでの4作品も充分に良質のアルバムを作ってきた。作品ごとに新しいチャレンジをしているし、それが的外れになることもない。本作も過去のサウンドからガラリと変わったことはないが、本作は幾分キャッチーさが増している。これはアメリカ市場を意識しているからだろう。ステレオフォニックスはすでにイギリスでは国民的なバンド。日本での人気もかなり増してきたが、オアシスやコールドプレイなどに比べると知名度はまだまだ低い。さらに輪をかけて知られていないのがアメリカらしい。オアシスやコールドプレイよりもアメリカ的なサウンドであるのにもかかわらず、である。だから近い将来、本作が全米進出のターニングポイントになったとなればいいなと思う。

 そして「本当に大傑作なのか」。これは本当だ。The Face誌などで活躍しているイラストレーター、グラハム・ラウンスウェイトが手掛けたアートワーク。全て単語の曲タイトルといった統一性。一聴しただけで耳から離れないメロディ。若手最強のヴォーカル。タイトな演奏。ステレオフォニックスをもっともっと欲したくなる傑作だと思う。本当だ。ただ、欲をいえばもっとコーラスを聴きたいし、美しいバラードも聴きたい。このバンドには、キッスでいえば「Beth」のようなバラードの代表曲が無い。クレジットによればケリーはピアノも演奏できるようなので、今後、ピアノのイントロから始まるベタなバラードが1曲くらいあってもいいと思う。

 さて、前半に書いたゲイの件はアルバムと関連ないじゃないか、と思ったかたも多いだろう。いや甘い。あなたは新メンバーのハヴィエを見たか。怪しいと思わないか。とにかくカワイイのだ。「ベストヒットUSA」でインタビューを受けているときも絶えずニコニコしていたし、本作のブックレットの写真も内股で体育座りをしているハヴィエ。彼の“th”のイントネーションを要チェックだ。
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by velvet_iris | 2005-09-02 23:50 | P/Q/R/S
The Strokes / Is This It(2001)
a0026447_16283071.jpg ファッションに流行りというのはつきもの。ボトムスの定番であるジーンズにも、微妙に流行り廃りがあるものだ。ストレート、スリム、フレアといったスタイルや色合いの違いはもちろん、わざと穴を開けたりワッペンで隠して個性で勝負した時代もあった。数十万もする「ヴィンテージ」を履いて、見えない部分で勝負するバカも多かった。最近、ショップへ行くと「レプリカ」や「ユーズドルック」なる加工品が目に付く。新品であるにもかかわらずダメージを与えられ穴が開いていたり、色落ちしている商品だ。

 本作はニューヨーク出身の5人組、ストロークスの1stアルバム。アメリカよりもイギリスで人気に火が付いて、「この時代に、このサウンドは新鮮」という好評価を受けていた。たしかにレトロな音質とシンプルな演奏、あっという間に終わる曲調は当時新鮮だった。やたら耳に残るリフも悪くない。しかし、いろんな音楽雑誌で「ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのような〜」という例えが用いられたのは、いささか納得いかない。ヴェルヴェッツとの決定的な違いはバック・コーラスだ。ストロークスのこのアルバムには「Sweet Jane」のようなコーラスが一切無い。「Heroin」のような緊張感も無く、どの曲もテンポが同じ。単調なリズムにのせてけだるそうに歌っているだけだ。ヴェルヴェッツをジーンズに例えるなら「ヴィンテージ」だが、ストロークスは「レプリカ」程度。レプリカのジーンズは、穴が開いたり擦れている一本だけを見れば味わいがあって格好良い。しかし、店頭に並んでいるのを見れば全部同じ位置に穴が開いて、同じ位置が擦れている。所詮加工品、計算された見せかけの古さだ。当時ストロークスから火が付いた“ガレージロック・リヴァイヴァル”と呼ばれたムーブメントは、“レプリカジーンズ大売り出し”みたいなものだったのかも知れない。

 先のほうでヴィンテージのジーンズを履く人を「バカ」だと書いたが、ジーンズそのものの良さは理解できる。ただ、破格の金額を支払う行為が理解できないだけだ。ヴィンテージが高額なのでレプリカを買うという人も多いだろうが、レコードの金額に差はない。単に古くて良いものが聴きたいならストロークスじゃなくてヴェルヴェッツを聴きなさい、と私は声を大にして言おう。(でも、このアルバムのジャケットは大好き♪)
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by velvet_iris | 2005-03-12 16:39 | P/Q/R/S
Pantera / Cowboys From Hell(1990)
a0026447_20283577.jpg 先日発表されたグラミー賞は年間最優秀アルバムなど5部門でレイ・チャールズが受賞した。アカデミー賞でも作品賞は逃したものの、映画「Ray」には注目が集まった。ご存じのようにレイ・チャールズ自身は昨年亡くなったわけだが、芸術家の中には死後になって評価が高まることがよくある。作風が時代に合わずに生前は散々酷評された画家や、死後になって過大な評価を受けるミュージシャンなどだ。特に不慮の事故などで早すぎる死を遂げると、伝説的なミュージシャンとして祭り上げられてしまうことがある。

 今日のアルバムはパンテラの1stアルバム。昨年12月に亡くなったダレル・アボットが世に出るきっかけとなったアルバムだ。初めて聴いた印象は、ギターが前面に出てるバンドだなあということ。まるでヴァン・ヘイレンの1stを初めて聴いたときの印象に似ていたと思う。当時ダイアモンド・ダレルと名乗っていたダレルのギタープレイは、メタリカのカークとは違う骨っぽさがあったし、M5「Cemetery Gates」のイントロのメロディと嵐のような硬質なリフの構成には感心したものだ。しかし、アルバムがリリースされた1990年頃といえば、メタリカやメガデスといった大御所がアルバムリリースの谷間にあったため、私の中のスラッシュ熱も急速に冷めていった時期だった。加えてグランジやミクスチャーバンド、ブラック・クロウズなどのアーシーなバンド、LAメタルブームの残り香のようなバンドなどが台頭し、私はそちらに傾倒していったのでパンテラはこのアルバム以降聴かなくなってしまった。

 ダレルはパンテラの熱狂的なファンによって射殺されたという。享年38歳。73歳で亡くなったレイ・チャールズの約半分しか生きられなかったわけだ。インターネットではファンによる追悼のコメントや讃辞を目にするが、それが正当な評価なのか何年後かに自分で確かめてみようと思う。今のタイミングだと私自身が過大評価してしまいそうだ。
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by velvet_iris | 2005-03-04 20:31 | P/Q/R/S
Smashing Pumpkins / Mellon Collie And The Infinite Sadness(1995)
a0026447_23415947.jpg 「ロックバンドは成功すると、必ず二枚組のアルバムをリリースする。間違いないっ!」長井秀和ではなくともこう叫びたくなるのは私だけではないはずだ。ビートルズは9作目、ツェッペリンは6作目、フーは4作目、ストーンズは、えーっと…16作目かな。とにかく、ある程度売れて金と名声を得たバンドが次に狙うものは「ものすごい大作」という金字塔ではないだろうか。バンド側の言う「アルバムのコンセプト上の都合」とかいう意見は建て前だろう。実績のない新人バンドがそんな事を言ってもレコード会社は聞いてくれないはずだ。

 今日のアルバムはスマッシング・パンプキンズが「ものすごいアルバムを作ってやる」と公言して作り上げた二枚組の3rdアルバム「メロンコリーそして終わりのない悲しみ」。本作が二枚組となったのも、やはり500万枚のセールスを記録した前作のヒットがあったからこそである。一見「調子に乗ってる」ようでもあるが、逆に言えば「充実している」時期のバンドだけに完成度は高い。オープニングからM2「Tonight, Tonight」への流れは鳥肌モノの美しさがあるし、ラストM28「Farewell And Goodnight」のエンディングまで静と動、光と影、3分以内の曲から10分近い曲までもが詰め込まれている。その“詰め込み”が最初はお腹いっぱいに感じ「一枚にしてくれれば良かったのに」と思ったものだが、長く聴き続けていると二枚組になった理由が分かる。悪く言えば「特出した曲がない」のだが、これは全体的に質が高いため。良く言えば「捨てる曲を選べない」ということだろう。

 二枚組アルバムはバンドのターニングポイントとなることが多い。GUNS N' ROSESは「楽曲の在庫一掃」と称して30曲をダブル・アルバムとして同時発売してから14年間もアルバムリリースできていない。スマッシング・パンプキンズも本作の700万枚というセールスが仇になり、次作の不振が解散の引き金になってしまった。
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by velvet_iris | 2005-02-28 23:45 | P/Q/R/S
Strawberry Switchblade / Strawberry Switchblade(1997)
a0026447_21575576.jpg 1971年生まれの私にとって80年代は9歳から19歳、まさに子どもから大人へと成長した10年間だった。恋にケンカに勉強にスポーツ、いろんな事に興味を抱き、初めての経験を繰り返していた10年間なので「80年代」という言葉の響きだけで甘酸っぱい想いが込み上げてくる世代だ。小学生の頃から洋楽ロックを聴いてきた私でも、当時流行したポップスを聴くと耳が覚えているし、心だけがあの頃にタイムスリップして少し素直になれるような気がする。

 今日のアルバムは1985年にヒットしたストロベリー・スウィッチブレイドの唯一のアルバム「ふたりのイエスタデイ」に9曲のボーナストラックを追加し「ふたりのイエスタデイ+9」というタイトルで日本独自企画・再発されたものだ。なんといってもタイトル曲のM1「Since Yesterday」は懐かしく、イントロのトランペットが流れた瞬間に14歳へ戻ってしまう。TVCMにも使用されたM14「Ecstasy」は、普段ロック好きと公言している人間が聴くのは抵抗があるくらいポップな曲だが、懐かしすぎてどうでも良くなる。アルバムライナーを読んで初めて知ったのだが、この「Ecstasy」という曲はCM用に日本サイドで制作されたそうで、作曲にはブルー・コメッツの故・井上大輔氏も加わっているとのこと。井上氏といえばガンダムの主題歌を歌い、数々のJ-POPを手掛けた人だが、スコットランド出身のこの女性デュオにも曲提供をしていたとは驚きである。

 アルバム全体にエレクトロニクスが導入されている点は“時代”を感じさせるが、ジルとローズのハーモニーには不思議な魅力があると思う。私にとっては魅力というより魔力に近い。なぜなら他にもヒットした80年代の洋楽ポップスはたくさんあるのに、「80年代」というキーワードだけでこの二人を思い出してしまうからだ。
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by velvet_iris | 2005-02-27 22:01 | P/Q/R/S
Stereophonics / Word Gets Around(1998)
a0026447_16435389.jpg 新人バンドのアルバムを聴くとき、アルバムの1曲目は私にとって重要だ。1曲目、いやもっと細かいことを言えば、イントロ15秒くらいの「好き嫌い」でアルバムの聴き方が変わってきてしまう。「好き」だと思えば期待を膨らませて真剣に聴くが、「嫌い」だと思えば雑誌を読みながらとか、下手をするとテレビに見入っていたりする。困ったものだが、どうしてもそうなる。

 ステレオフォニックスのデビューアルバムは、この「15秒」が完璧だった。M1「A Thousand Trees」は、2つのギターコードとシンバルで静かに始まり、ケリー・ジョーンズのヴォーカルが飛び込んでくる何気ないイントロではあるが、そのギターの歪み具合とケリーのハスキーさが私の好みにマッチしたのだ。もうそれからの16曲(日本盤ボーナストラック含む)は、あっという間に終わってしまった。今思うと、どの曲が1曲目に位置しても結局私は好きになったなと思った。全曲が良い意味でキャッチーだし、ケリーの歌唱と声が好きだ。M8「Same Size Feet」の最初のほうの語るような地声はヴェルヴェットのように滑らかなのに、激しさが増すとハスキーさも相まって、エッジが出てくる。この時期にデビューした新人バンドの中では、一番好きなヴォーカリストだ。

 同時期に聴きまくっていたUKのバンドの多くは、ここ数年転機を迎えている。解散したクーラ・シェイカー、とんでもない次元へ行ってしまったレディオヘッド。音沙汰のないオアシス。相変わらず聴き続けているのはアッシュとステレオフォニックスくらいだ。3月には新作がリリースされるが、もちろん私にとっての最重要な一枚である。
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by velvet_iris | 2005-02-05 16:56 | P/Q/R/S
Quiet Riot / The Randy Rhoads Years(1993)
a0026447_13442257.jpg 「天国のロックバンドはきっと忙しくなるだろう」 この言葉は2002年の6月にラットのロビン・クロスビーが亡くなったときに、友人だったモトリー・クルーのニッキーが語ったものだ。もしも本当に天国があって、既に亡くなったミュージシャン達がバンドを組んでいたら面白い。私が夢でもいいから一度見てみたいと思う“天国バンド”のドラムはジョン・ボーナム。ベースはシド・ヴィシャスで、シンガーはフレディ・マーキュリー。そしてギターを一人だけ選ぶとすれば間違いなくランディ・ローズだ。

 今朝iPodが再生したのはランディがクワイエット・ライオット在籍中に残した音源を集めたコンピレーションアルバム。ジャケットは一見するとブートレグのようなセンスの悪さだが、正真正銘の正規盤だ。内容は日本のみLP発売された1stと2ndから4曲、未発表テイク5曲、ライヴテイク1曲という構成となっている。1stと2ndはCD化されていないため貴重ではあるが、特筆すべきはライヴを含む未発表テイクだろう。まだメジャーデビューもしていない1977年7月にLAのクラブで収録されたM2「Laughing Gas」ではランディの7分近いギターソロが堪能できる。オジーのライブ盤「Tribute〜ランディ・ローズに捧ぐ」に収録されていたソロは鬼気迫る中にも組み立てを感じられたが、本作のソロはどちらかといえば即興性が強い。お馴染みの手クセの他にも、のちにオジー時代の作品となった「Dee」や「Goodbye To Romance」のフレーズが盛り込まれているが、もしかするとこの2曲はひとつだったのかもしれないという想像をかき立てられる。また、アコースティックヴァージョンのM3「Afterglow (Of Your Love)」では粗の出やすい12弦ギターを完璧に押さえているし、M4「Killer Girls」でのソロはランディには珍しくストラトを使用していたりと、ファンにとっては全曲が宝物だ。

 ちなみにプロデュースはヴォーカリストのケヴィン・ダブロウ。HR/HM界随一のエゴイストという悪名高いケヴィンはランディの死後、たびたびランディの質問を受け続けてきたことでランディが金になるということに気付いたようだ。近年はランディ直筆の手紙をオークションに売り出したり、DVDを制作するため在籍時代の映像を探し回っているらしい。どんな形でも発掘してくれるのはありがたいが、えげつないビジネスばかりしてると地獄に落ちるぞ(笑)。
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by velvet_iris | 2005-02-01 13:47 | P/Q/R/S