Carole King / Tapestry(1971)
a0026447_2194385.jpg 先日コンビニで購入したロールパンの賞味期限が切れていた。一口食べてパンに含まれるレーズンの味がおかしいことに気が付いたのだ。表示を見ると2日経過している。自分で購入した食品の賞味期限を忘れることはあっても、買ったばかりの商品に気が付いたのは初めてだ。普段買い物で利用するスーパーやコンビニで表示を見ない私は、小売業が意外とルーズだという事と鮮度の重要さを改めて感じた。鮮度はなにも食品に限ったことではない。映画、文学そして音楽にも鮮度は存在すると思う。

 私の大好きな作家のひとり、星新一(ほし・しんいち)は鮮度にこだわった作家だと思う。しかし、それは新鮮さを追求することとは正反対、つまり腐らせないための表現である。彼は「時事風俗を扱わないこと」「前衛的な表現を用いないこと」を自らに課し、登場人物や背景をシンプルに描写し続けた。1997年に亡くなるまでに1000編以上の作品を発表しているが、いずれの作品も読者に古さを感じさせることはない。小説が描写の部分から腐りはじめるならば、音楽はどこから腐っていくのだろうか。

 今朝iPodが再生した曲はキャロル・キングの「君の友だち」だった。34年前に発表された彼女のソロ第2作目「つづれおり」の7曲目である。アルバム自体あまりにも有名なので古い作品だということは分かるが、曲そのものは決して色褪せていないと思う。ピアノやアコースティックギターだけを使用してシンプルな演奏を心掛ければ少なくとも時代を感じさせられることはない。しかしこのアルバムでは、エレクトリック・ギターやベース、ストリングスにパーカッションも聴こえてくるし音数も決して少なくない。個性的な歌唱法ではないが、やたらメロディが頭に残るのは何故だろう。本作が大ヒットした当時の背景について、萩原健太氏はアルバム・ライナーで「キャロル個人がやっていることは基本的には何ひとつ変わらない。が、シーンが変わった。時代の空気感が変わった」と書いているが、34年経過した現在でも色褪せる事なく輝いているのは何故だろう。もちろん簡単に解説できていたなら今ごろ印税生活なんだろうけれど。

 賞味期限の切れたレーズンロールは一口かじって食べるのをやめた。怒りはしなかったが店側には知らせておきたいと思ったので、たまたま残っていたレシートと共にコンビニへ持って行ったら交換してくれた。普段は表示を見ない私だが、それ以来レーズンロールの賞味期限だけはチェックしている。
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by velvet_iris | 2005-02-10 21:18 | A/B/C
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