Motley Crue / Shout At The Devil(1983)
a0026447_1853430.jpg 私はヘビメタが嫌いだ。いや、正確に言うならば「ヘビメタ」という呼称が大嫌いなのである。思えば「ヘビメタ」という呼称が一般層に定着してしまった元凶はテレビ番組ではないだろうか。80年代の人気番組「天才たけしの元気が出るTV」。この番組の罪は「ヘビメタ」という言葉とともに「騒がしい音楽」「クレイジーな言動」「奇抜なファッション」というマイナスイメージを一般層へ植え付けたことだ。そして番組に出演して笑い者となった彼等の、奇抜と思われていたファッションの模範こそがこの時期のモトリー・クルーである。

 本作はモトリーが本格的なブレイクを果たした2ndアルバムだが、ジャケットを見ればその「奇抜さ」の一端が分かってもらえるだろう。逆毛を立てた髪に強調したシャドー、派手なレザーに身を包んだ彼らのファッションは、先駆者であるキッスやニューヨーク・ドールズよりも受け入れ易かった。それは一口に時代と言えなくもないが、モトリーがビジュアルを含めたイメージ戦略が巧みなバンドだったことは間違いない。サウンドも疾走感溢れるM2「Shout At The Devil」やビートルズのカヴァーM6「Healter Skelter」、オリエンタルな雰囲気のM8「Too Young To Fall In Love」など秀作揃いである。彼らをはじめとする欧米のHR/HMはアメリカでも迫害を受けた実例があるが、それ以上に尊敬し愛するファンも多い。しかし、日本におけるヘヴィメタルのマイナスイメージはその後、聖飢魔IIの出現によって揺るぎのないものとなった。

 10年前の私も背中までの長髪の、いわば「ヘビメタの人」だった。初対面の人に訊かれるのはいつも「バンドやってんの?」だし、それに続く質問は必ず「ヘビメタなの?」である。悪気のない確信犯には「そう、ヘヴィね」と答えるが、そうでない者に対しては「ヘヴィだよ、ヘヴィ!」と一喝していたものだ。最近「ヘビメタ」という言葉が聞かれなくなった背景には、私のような「元ヘビメタの人」による地道な「ヘビメタ撲滅運動」の成果があるだろう。彼らの多くは現在は短髪でネクタイをしていたり、太ってしまって面影すらない。それでも、もしあなたが「ヘビメタ」という言葉を発したときに眉間にシワを寄せた人がいるなら、その人は「元ヘビメタの人」かもしれない。
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by velvet_iris | 2005-02-08 20:25
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